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イントロダクション

人は死んだらどこにいくのだろう?
それは、ものごころついたころ、昨日まで元気に話していた近所のおじさんが亡くなったとき
その方のなきがらの前で呆然と、どうしておじさんは動かないのかなと不思議に思った記憶にはじまります。
そして、動かなくなるということは、動けなくなるということで、自身におきかえて考えたとき、とても怖くなりました。
それからわたしは祖母に死ぬことが怖い、死んだらどうなるの?と訴え続けます。
そんなとき祖母がなにか明確な答えをくれたわけではありません。ただ、日々の暮らしを通して、そのことを伝え続けてくれたのかなと、いまになって思います。それはまちかどのお地蔵様にそっと手をあわせることやお仏壇に炊きたてのごはんを供えるといったことで、そうした日常の行為によって、亡くなった方との交流が生まれることにつながるのでした。そしてそれは、目に見えないものの存在を確認することであり、目に見えているものだけがすべてでないことの表れでもありました。
今回の映画を製作するにあたり、どうしたら遺されるもの、逝ってしまうもののあいだにある結び目のようなあわいを描く物語へ昇華できるだろうと考えました。
わたしも含めた現代人は、マイナスの要素を排除し快適な空間のみを追い求めるあまり、たいせつなものを確かめられない日々を過ごしているような気がしてなりません。前から続いてきたこと、いまあること、このさきに伝えていきたいこと……この映画が広く人々の心にとどまってゆくことを願います。